天然繊維の暖簾がやはり良い
暖簾とは日本を代表する伝統であり、文化と言って間違いありません。それは京都の町家の家並みを見ていればそのことがすぐにわかります。
町家の店先には、必ずと言って暖簾がかけられており、その店の業種や店名などがすぐにわかるように成って居るのです。そして表を向いているのか、裏側が欠けられているのか、はたまたかけられていないかで、その店が営業中か休憩中、お休みであるかが判断できるようにも成って居る非常に便利なツールでもあります。
昨今はお手入れしやすいポロエステル製のものもずいぶん増えました。雨風にも強く、クリーニングにも強い耐久性があるからです。しかし京都は伝統を重んじて、麺や麻と言った天然素材のものを多く使われているのです。軽くて風合いが良く、風邪にひらひらとたなびくさまは、優雅であり趣すら感じます。
ですが天然の素材は染色が難しく、染められる色も限定されたり、グラデーションや多色遣いが難しいと言う欠点も見られました。ところが最近では技術の進歩によってグラデーションや多彩色、濃淡や重ね印刷なども可能と成って居るのです。ではなぜこうしたことが可能となったのか、次に具体的に見て行く事にしましょう。
インクジェットプリントで染色が可能に
麻や面と言った素材もあるインクの登場によって、染色が非常に簡単になりました。そのインクとは彩色インクジェットであり、かつては難しいとされていたレインボーやグラデーション、重ね印刷なども可能と成って居ます。そのため天然素材の暖簾であっても、現代アートの様な素晴らしい昇華転写のものなども見られるようになり、若い世代の人にも暖簾が広く取り入れられるようになりました。
ツムギなどは特に生地が薄く、軽いためにインクでの多彩色の印刷は難しいとされていたのです。ところが彩色インクジェットプリントでは、濃淡の印刷も可能と成り、裏抜けと言ったことも濃い色の身と成って居るのです。ツムギ独自の透け感をも残しつつ、多彩色の色彩やデザインの歯場も広くなり、ますます暖簾の可能性は広がっていくことが予測されます。
こうした暖簾での昇華転写の技術や、インクジェットプリント技術を生かし、手ぬぐいや風呂敷の染色にも応用されるように成って居るのです。手ぬぐいや風呂敷であればコンパクトであり、のれんと違って一般の方にも取り入れやすいと言えます。天然素材に多彩色のプリントが出来るようになったことから、ファッションアイテムとしても活用されるように成っています。