日本の伝統技法を使った暖簾は、インターネットが普及した現代でも宣伝用として活躍しています。

 

野外用の宣伝にのれんが活躍している理由としては外国人旅行客が関係しており、日本語が読めない外国人でも絵柄を見せることによってしっかりと認知してもらうことが可能です。そういった理由でのれんの需要は織物企業としても重要視されており、より高い宣伝能力を持たせるために最新鋭の技術を使って製造されています。

 

代表例として挙げるのがコピー印刷であり、CADのような造形ソフトと特殊なインクを流すコピー機を併用することで鮮やかな色彩ののれんを大量に製造することができるのです。これまでは印刷技術のように、より繊細な絵柄ののれんを大量に作る形でしたが最新鋭はのれん生地のほうにも力を入れるようになっています。

 

その最新鋭の技術でうまれたのれん生地の一つが、ろうそくの原料のロウを使った防水10号帆布です。ろうそくのロウを使ったパラフィン加工をすることで、強い撥水効果を発揮することで水による劣化を防ぐことができます。

 

水風から生地の劣化を防ぐ

印刷にも使うインクにも撥水加工が施されたものがありますが、水によって生地が劣化してしまうとインクの撥水効果は意味をなさなくなります。そこでインクを塗った後に加工することで、のれん生地への水の侵入をふせぐことができ耐久性を上げて長期間使うことが可能になったのです。

 

防災用としての活用法

紫外線や雨風にあたっても長い期間宣伝用に使えるパラフィン加工をした防水10号帆布は、もともとはのれんとして活用されるために生み出されましたがそのメリットを生かして様々な活用法が生まれています。その活用の一つで全国の自治体で期待されているのが、防水10号帆布を防災用として活用することです。

 

近年の環境問題が、海水温度の上昇によって起きるゲリラ豪雨を代表する浸水被害です。浸水被害が起きると建物の劣化を速めてしまうだけでなく、カビの浸食を許すことで健康被害にもつながります。そのためできるだけ家に侵入しないようにする必要がありますが、そのためには土嚢を使ってできるだけ防ぐ必要があります。この土嚢を作るときに多く流通している化学繊維を使った入れ物を使いますが、何も加工していない化学繊維の生地では水の侵入を防ぐのが難しいです。

 

ロウ加工

そこでこのロウ加工した生地を使うことで撥水してくれれば効果を上げてくれます。もうひとつ重要な使い方が、地震災害が起きた時に火災が起きた時に防災頭巾として活用することです。この生地は酸素を通さないロウで固めているため、とても頑丈で燃えにくい性質があります。防災頭巾に使うことで地震災害の時には頭部を守り、高温の火の中でも安心して動けるので生存率が上がるのです。